アラビア語ってどんな言葉?
- Musa M., Ph.D.
- 3月27日
- 読了時間: 4分
アラビア語は、中東や北アフリカを中心に、27か国以上で使用されている言語です。
「アラブ人」とは本来アラビア半島出身の人々を指しますが、現在ではアラビア語を母語とする人々全体を指す言葉として使われています。
アラビア語とイスラム教
アラビア語はもともとアラビア半島で話されていた言語ですが、イスラム教の誕生と拡大に伴い、その使用地域は北アフリカにまで広がり、現在でも広く使われています。
イスラム教の聖典『クルアーン』(日本語では「コーラン」)は、7世紀当時のアラビア語(いわゆる古典アラビア語)で書かれています。
ムスリム(イスラム教徒)は、アッラー(唯一神)が人類にイスラムを伝える手段としてアラビア語を選んだと信じており、この言語を「神の言葉」として重視しています。
《われは、アラビア語のクルアーンを下した。恐らくあなたがたは悟るであろう。》
(クルアーン「ユースフ章」第2節より)
また、審判の日や楽園でも使われる言語とされ、最高の言語と考えられています。
※ただし、この「神の言葉」としてのアラビア語は、現代の話し言葉とは異なりますのでご注意ください。
アラビア語の二重言語性
アラビア語には大きく分けて「フスハー(文語)」と「アンミーヤ(口語)」の2種類があります。
アラブ人はこの2つを場面に応じて使い分けており、このような社会的な言語状況を「ダイグロシア(Diglossia/二重言語性)」と呼びます。
フスハーとその使用状況
フスハーとは、7世紀頃のアラビア語をもとにした文語体で、公的文書、ニュース、文学、教育などで使われる現代標準アラビア語(Modern Standard Arabic, MSA)です。
アラビア語の母語話者は、学校の授業を通じてフスハーを学びます。
読解は可能でも、正しい文法を理解していなければ文章を書いたり音読したりするのは難しいため、特にクルアーンを読むには文法学習が必要です。
しかし、アラブ人であってもフスハーを話すことは少なく、スピーチなどで使用される際には文法的な誤りもよく見られますが、一般にはあまり気にされません。
アンミーヤとその使用状況
アンミーヤ(口語)は国や地域によって大きく異なり、おおまかに以下の6つに分類されます:
• エジプト方言(エジプト)
• マグリブ方言(リビア・モロッコなど)
• その他(イエメン・スーダン・モーリタニアなど)
• レバント方言(レバノン・シリアなど)
• イラク方言
• 湾岸方言(サウジアラビア・UAEなど)

地域の異なるアラブ人同士が話す場合、通常はそれぞれの方言で話し、必要に応じて簡略化されたフスハーを使うこともあります。
この中間的な言語は「中間アラビア語(inter-Arabic)」とも呼ばれ、「白いアラビア語」と称されることもあります。
中間的なアラビア語とは?
フスハーを話す必要があるアラブ人(政治家や評論家など)でも、完璧なフスハーを使えるとは限りません。
そのため、語尾変化を省いたり、口語の影響を受けた簡略なスタイルで話すことが一般的です。
例:
• フスハー:haadhihi qahwatun(これはコーヒーです)
• 中間的:haadhihi qahwah
• フスハー:'uriidu 'an 'ashraba qahwatan(コーヒーを飲みたい)
• 中間的:'uriid 'ashrab qahwah
フスハーかアンミーヤ、どちらを学ぶべき?
通常、語学教室や教材ではフスハー(文語)を扱いますが、文法が複雑で習得に時間がかかるため、実際の会話に活用しづらい側面もあります。
コミュニケーション重視の学習を希望される方は、まずフスハーを基礎として学びつつ、アンミーヤに移行する学習法が効果的です。
もちろん、最初からアンミーヤを学んでも問題ありません。
学習目的に応じた方言選びを
学習対象の国や地域が明確な方は、ぜひその地域の方言を学ぶことをおすすめします。
対象が決まっていない方や、希望する方言の教材が入手困難な場合は、「中間的アラビア語」から始めるのがよいでしょう。
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